オステオパシーとは1892年にアメリカのカークスビルオステオパシー医科大学から始まった学問であり、自然治癒力を重視した治療プログラムです。触診によって身体の様相を分析し、手技によって身体機能を回復していきます。
日本では国の認定する資格ではないことから理解されにくい医療哲学ですが、発祥の地である米国では、医学の一分野としてオステオパシー医科大学による教育が行われ、D.O.(Doctor of Osteopathic Medicine)という専門博士号が普及しています。
オステオパシーでは体内の治癒システムを高めることで病気を治そうという考え方をします。例えば伝統的な西洋医学では感染症患者には抗生剤を使って菌を退治しようとしますが、オステオパシーでは胸部の可動性を高めて呼吸しやすくしたり、リンパを流して免疫が働きやすい体内環境を整えることで治そうとします。このように従来の西洋医学では「病気」に働きかけますが、それに対しオステオパシーでは「生体」に働きかけているのです。
オステオパシーは薬で治すことに疑問を抱いた医師らによって誕生し研究されてきました。いつの時代でも薬に対する不信感から、自然回帰的なムーブメントが起きるという社会現象があります。まさしく当時の医療も今ほど薬剤の精度が良くなかったため、薬への不安、不信がありました。
特にアンドリュー・テイラー・スティルという医師は自分の子どもを3人も流行病で亡くしてしまったことにより、患者の体力を回復し自然治癒力を最大化することが最善の治療であるという考え方を示します。これが礎となりオステオパシー医科大学が立ち上がり薬を使わずに治すための医学教育が行われました。
現在のオステオパシーは薬を否定するものではありません。しかし薬や外科術を行うにしても、科学に基づいて身体機能を回復し自然治癒力を高めることが真の治療であるという哲学は今でも変わっていません。
1 身体はひとつのユニットである
2 身体は自己調節、治癒、平衡維持システムを持っている
3 構造と機能は互いに関与し合っている
4 合理的な治療は上記3つに基づいている