片頭痛はズキズキと拍動する痛みが生じ、吐き気、目のチカチカ、めまい、発汗、幻嗅、幻聴などを伴うこともあります。

低気圧、ホルモンバランス、光、匂い、音、食べ物、ストレス、リラックスなど誘発させるものは個人によって様々です。

思春期ごろに初発することが多いですが、5歳から40歳までに発生する可能性があります。

「よくある心配することのない症状」というカテゴリーとしてあつかわれ、学校や職場で理解が得られないことが更に当事者の心身を害していくこともあります。

体では何が起きているのか?

片頭痛はいくつかの素因が組み合わさって発生すると考えらるため、純粋な原因は不明とされていますが、血管収縮と拡張、セロトニン代謝の不安定性が関与していると考えられています。

血管の収縮と拡張

プロメテウス解剖学アトラス 頭部/神経解剖
プロメテウス解剖学アトラス 頭部/神経解剖

脳にはアドレナリンを感知する血管、アドレナリン作動性血管があります。大きな血管では脳底動脈、軟膜動脈などがあります。

アドレナリンは集中したり、緊張するときにたくさん分泌される物質で、この物質をアドレナリン作動性血管が感知すると、血管壁の筋肉が動いて収縮が起こります。収縮すると血管は細くなりますから、血流量は減ってしまいますね。それを回復させようとアドレナリン作動性ではない他の血管は拡張を起こします。

この拡張によって血管壁の痛みセンサーが反応し頭痛が起きると言われています。

セロトニン代謝の不安定

セロトニンの役割として血管の痛みセンサーの感度を高める働きがあります。セロトニンが放出されることで血管は痛みを感じやすくなり、小さな刺激に対しても反応するようになります。

ではなぜセロトニンが放出されてしまうのでしょうか?それは血流のスピード変化が影響しています。血管内の流れはどこも一定というわけではなく、血管壁に近いところは遅く、中央では速くなっています。この速度差によって血管内の細胞同士がぶつかり合う力(ずり応力)が発生します。

ここでアドレナリンが作用して血管が収縮すると、血管壁の圧力がかかってきますよね。ずり応力と血管壁の圧力、この2つの力がセロトニンの貯蔵庫である血小板に影響を強く与えます。

すると血小板に蓄えられていたセロトニンは放出され、血管の痛覚、つまり痛みセンサーは感受性を高めるのです。

標準的な医学

・重症度に応じた鎮痛薬

・予防の薬

詳しくはMSDマニュアル 家庭版を参照してください

オステオパシーによるケア

頭蓋骨、頚椎、胸椎の正常化

頭蓋骨、頚椎、上部胸椎の検査をして機能障害があれば、それらを取り除きます。

機能障害というのは、筋肉や関節周辺組織が緊張し可動性が少なくなっている状態です。俗に言う「ゆがみ」と捉えていただければ結構です。

頭蓋骨、頚椎、上部胸椎の機能障害はアドレナリン分泌を亢進し、血管収縮に作用し偏頭痛が誘発される可能性があります。

呼吸の調整

呼吸に伴う、胸椎、肋骨、横隔膜の動きを検査し、機能障害があれば取り除きます。深い呼吸ができないと交感神経の亢進が起きてアドレナリン分泌が促される可能性があるからです。

静脈洞ドレナージ(排液)

また静脈の停滞があればドレナージ(排液)を行います。

側頭骨(耳がついている骨)と後頭骨(後頭部の骨)の間を頚静脈という大きな静脈が通っています。側頭骨と後頭骨の圧縮によって頚静脈の機能を低下させ脳内の静脈停滞を起こす可能性があるため、側頭骨、後頭骨の機能障害もチェックする必要があります。

生活習慣への対応

姿勢の悪さ、運動不足、ストレス発散不足は片頭痛を進行させる可能性があります。これらにおいても何か見直すことはできないか、取り組めることがないか、検討する必要もあります。

改善のポイント

片頭痛は一種の身体的特徴のようなもので、いかに上手に管理できるかがポイントになります。

自分にあった薬を使うことで痛みをコントロールしやすくなりますが、濫用はかえって新たな頭痛を作ってしまうので医師とよく相談し処方してもらうようにして下さい。

また体全体を整えることを念頭に置き、複合的ケアを行えば頭痛を緩和し、頻度を減ら、頭痛薬を減らすことには大いに役立つでしょう。

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筋骨格オステオパシー

60分 定価9,900円(税込)