女性の場合、下腹部の内臓が原因で膝の痛みを引き起こすことがあります。具体的には子宮内膜症、盲腸(虫垂炎)、右の卵巣膿腫(チョコレート嚢胞)、思春期の生理的な卵巣の発達など主に盲腸と右卵巣の問題です。
なぜ盲腸、卵巣が膝の痛みを起こすのでしょうか?それは閉鎖神経という膝に関係する神経がすぐそばを通っているからです。
盲腸と右の卵巣及び卵管はCleyet(クリイェット)靭帯という線維性の組織でつながっています。Cleyet靭帯は女性の60%にしかないと言われています。
Cleyet靭帯のすぐ後ろには閉鎖神経という恥骨から膝の内側に走る神経が存在しています。盲腸や卵巣の炎症などによってCleyet靭帯が癒着を起こすと閉鎖神経を圧迫し、痛みを引き起こす可能性があり、これが膝の痛み(特に内側)となるのです。
膝の内側の痛み、恥骨痛、排卵痛、便秘、下痢、股関節痛、骨盤痛、腰痛、右背中~肩甲骨のコリ
このような場合では膝のレントゲンやMRIを撮っても異常が見られません。また骨盤矯正、脚のバランス矯正、マッサージなどをしても効果が一時的で痛みが再発しやすくなります。
医学的な処置
虫垂炎や子宮内膜症、卵巣嚢腫などがあれば、まずは疾患に対しての治療が必要です。
- 外科手術
- ホルモン療法
詳しくはこちらもお読みください↓
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=9
オステオパシー的な処置
- 右の卵巣の可動性を回復する
- 盲腸の可動性を回復する
- Cleyet靭帯の可動性を回復する
- また上記の誘発因子として右足首、姿勢、呼吸の問題があれば施術する
改善のポイント
盲腸や卵巣など下腹部の臓器はもともと血流が停滞しやすい位置にあり、炎症がよく見られます。そこに加え、運動不足、便秘、ホルモンの乱れが重なることで問題が起こります。股関節を動かすエクササイズ、深い呼吸のエクササイズなどを取り入れるとよいでしょう。
また卵巣は将来の赤ちゃんとなる原初の卵(卵子)を作る大切な場所ですので、若い人でも早めの治療を受ける必要があります。